相続した不動産を売却する方法5ステップ。必要書類やかかる税金も解説
相続した不動産を売却したいけど、売却方法や必要な手続きがわからず困っている、ということはありませんか?実は相続してから一定期限を過ぎると、相続時や売却時にかかる税金は高くなってしまいます。損をしないためには、事態を放置せずに早めの手続きを行うことが肝心です。
今回の記事では、相続した不動産を売却する流れを解説します。必要書類やかかる税金、税額を抑える方法も参考にしてみてください。
相続した不動産を売却する流れ5ステップ
相続した不動産を売却する流れは、「有効な遺言書」の有無によって異なります。
【遺言書がある場合】の売却の流れ
- 遺言書通りの遺産分割
- 不動産の名義変更
- 不動産売却
【遺言書がない場合】の売却の流れ
- 相続人と財産を確認する
- 遺産分割協議
- 不動産の名義変更
- 不動産売却
今回は特に困ることの多い「有効な遺言書がないケース」で、不動産を売却する流れ5ステップを解説します。
STEP1:遺言書の確認
まずは、「有効な遺言書」の有無を確認します。
- 遺言書がある場合は、遺言書に従って遺産分割をします。
- 遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
注意したいのは、遺言者が自ら書く「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」です。開封する前に、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になります。署名や押印がない、遺言者に認知能力がないといった場合は無効となるケースがあります。
STEP2:相続人と財産の確認
相続人を確認する
誰が「法定相続人」かを調べます。法定相続人とは、民法で定められた「財産を相続する権利を持つ人」のことです。必ず相続人になるのが「配偶者」です。その他の親族は、以下の順位によって権利が決まります。
- 第1順位:子(子が死亡の場合は孫)
- 第2順位:父母、祖父母
- 第3順位:兄弟姉妹
遺言書がない場合、配偶者と第1・2・3順位である親族全員の共有財産となります。
財産を確認する
相続する財産とは、基本的に亡くなった方が所有していた「全ての財産」です。現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものが含まれます。
STEP3:遺産分割協議
「遺産分割協議」とは、法定相続人が遺産を分けるための話し合いのことです。誰がどの財産を、どんな割合で相続するのかを決めます。相続人が1人の場合は、この話し合いは不要です。
遺産分割を放置していると、遺産の相続者が不明なままです。被相続人が亡くなった日から10カ月以内に相続税を納付する必要があり、期限が過ぎた場合は延滞税が発生します。
また、2024年4月1日から「相続登記の義務化」が開始されました。相続した家や土地の登記手続きをしないで3年間放置すると、10万円以下の罰金が科されます。
遺産分割は早めに済ませておきましょう。どうしても話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停または審判の手続きを利用できます。
STEP4:不動産の名義変更
不動産(家や土地など)の名義を相続人に変更する手続きを行います。主な流れは以下の通りです。
- 必要書類を集める
- 登記申請書を作成する
- 法務局で申請手続きをする
相続登記に必要な書類は以下の通りです。
【不動産の名義変更に必要な書類】
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本
- 亡くなった方の住民票除票(または戸籍の附票)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
- 相続人全員の印鑑証明書
- 不動産の固定資産評価証明書
特に大変なのが、「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本」を集めることです。亡くなった方に引っ越しをした経験があれば、転籍前の本籍地がある役所にて戸籍を請求しなければならず、手間と時間がかかります。自力で必要書類を集めるのが難しい場合は、登記業務のプロである司法書士に依頼するのも手です。
STEP5:不動産の売却
不動産を売却する方法は「仲介」と「買取」の2種類があります。
「仲介」は不動産会社が売主と買主の間に入って、取引を成立させる方法です。相場に近い価格で売ることができます。
「買取」は不動産会社が直接買い取る方法です。相場よりも安い価格となりやすいですが、スピーディーに売却できます。
そのほかにも、売主と買主が直接契約を結ぶ「個人売買」で売却する方法もあります。手数料や税金の節約はできますが、専門知識がないとトラブルが起きやすくなるので注意が必要です。
相続した不動産売却時にかかる税金
相続した不動産の売却時にかかる税金は、たとえば次のようなものがあります。
- 相続登記の登録免許税
- 相続税
- 印紙税
- 消費税
- 譲渡所得税
相続登記の登録免許税
相続登記をする際には税金がかかります。金額の計算方法は「不動産の固定資産税評価額×0.4%」です。金額分の収入印紙を購入し、登記申請書に貼り付けて、法務局に納付します。収入印紙は、郵便局やコンビニなどで購入できます。
相続税
相続税は、被相続人が亡くなった日から10ヶ月以内に納付します。銀行や金融機関、税務署に支払います。納付が遅れた場合は延滞税が発生します。
印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書を作成する際にかかる税金です。書類に収入印紙を貼り、これに消印することで納付となります。
消費税
家を売却する際、不動産会社へ支払う仲介手数料には消費税がかかります。また、司法書士へ名義変更を依頼した場合も、手続き費用に消費税がかかります。
譲渡所得税
不動産売却で利益が出ると、利益に対して譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別税)が発生します。しかし、次に解説する特例控除が適用された場合、税金の支払いが不要になるケースもあります。
相続した不動産売却時にかかる税額を減らす特例
相続した不動産売却時にかかる税金は、特例を利用することで減らすことが可能です。
マイホームの譲渡所得の3,000万円控除
マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所要期間の長短に関わらず、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。特例を受けるための主な要件は次の通りです。
- 現在住んでいる家、または、家とともに敷地や借地権を売却すること
- 単身赴任の場合は、配偶者が居住していること
- その家に住まなくなってから、3年後の12月31日までに売却すること
- 保養・娯楽のための居住用財産(別荘等)ではないこと
- 売却する年の前年及び前々年に3,000万円控除などの特例を受けていないこと
- 控除を受けるためのみの目的で購入した家ではないこと
- 売手と買手が、、親子・夫婦といった特別な関係にないこと
- 災害によって滅失した家の場合、住まなくなってから3年後の12月31日までに売却すること
なお、かつてマイホームが建っていた土地について、家を解体してから売却する場合は、家の解体から1年以内に売買契約を締結することと、さらに、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却することにより、適用を受けることが可能です。ただし、家を取り壊してから売買契約を結ぶ日までの間に、貸駐車場等にして他人に貸していた場合は適用の対象外となるので注意しましょう。
その他の要件の詳細は、国税庁のホームページを確認しましょう。
参照:国税庁「マイホームを売った時の特例」
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除
相続した空き家の不動産が一定条件を満たすとき、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。特例を受けるための主な要件は次の通りです。
- 亡くなられた方が一人で生活していた家であること(自宅以外の別荘には適用されません)
- 昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建ての家であること
- 相続から売却までの期間、人に貸したり自分が住むことなく、空き家の状態であったこと
- 耐震基準を満たしている空き家か、更地であること
この他にも期間や売却金額に関する要件もあるので、空き家売却を検討する際は事前に確認が必要です。
参照:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
取得費加算の特例
相続した不動産を3年10ヶ月以内に売却すれば、取得費が加算されるため、譲渡所得(売却価格−取得費※購入価格と販売活動費用)の金額が少なくなります。そのため、譲渡所得税額が抑えられます。活用するためには3つの要件を満たす必要があります。
- 相続や遺贈(遺言により財産を受け取ること)により、財産を取得した人であること
- 財産を取得した人に、相続税が課されること
- 相続開始の日の翌日から、相続税申告期限の翌日以後3年が経つまでに、その財産を譲渡(売却)していること
期限のある特例のため、相続財産の売却や譲渡は、可能な限り早めに動くことがおすすめです。
参照:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
まとめ
今回は、相続した不動産の売却方法や税金について解説しました。
不動産売却の方法は、有効な遺言書があるかないかで異なります。遺言書がない場合、法定相続人が遺産を分けるための話し合いが必要です。売却時にかかる税額を減らすためには、期限がありますので、なるべく早めに誰がどの遺産を相続するのか決めるようにしましょう。
ぜひ売却の流れや税金について理解したうえで、売却活動を進めてみてください。家を売ると決めたら、まずは家の価格を査定してもらいましょう。長岡不動産売却査定センターでは、無料で査定をしています。まずはお気軽にお問い合わせください。
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